歯を抜かずに治る
可能性が高まる

なぜ歯を抜かずに直すの?

そもそもなぜ歯並びが悪くなったのでしょう

ガタガタの歯ならびの原因の多くは歯が生える場所が足りないことです。つまり、アゴの成長不足によるものがほとんどです。歯並びはもちろん大切ですが、歯は並びよりも正しく使うことが大切です。
正しく使えばアゴが正しく成長し、歯が並ぶ場所があれば歯はきれいに並びます。
そして一番大切なのは正しく咬むことで顔が正しく成長することなのです。

吉田歯科では成長期の子供の場合、永久歯は抜きません。抜歯すると萎縮した顔がもっと萎縮してしまうからです。歯が並ぶのに必要なアゴの大きさに成長することの方が自然だと考えています。

なぜ成長期に歯を抜かないの?

左は10才半の顔で、右が12才の時の顔です。彼女は10才半の時、矯正治療のため抜歯しました。顔を比較すると、12才になった横顛は、下のアゴが明らかに後退しています。顔が平坦になり、貧弱になりました。正面から顔を見ると、下唇が突出し、口元が貧相になり目尻も下がっています。
(イギリスの矯正医Dr.MEW(ミュウ)の文献を引用)

貧弱な顔に発育したのは、抜歯による影響です。すべてこのような経過をたどるとは限りませんが、アゴが未発育になる可能性があります。大切なことは『矯正治療』が顔に悪影響を与えたのではなく、『抜歯』が、その後の顔の発育に悪影響を与えたことです。特に、抜歯は後戻りができません。『抜歯による治療法』は慎重に選択すべき治療法だといえます。

矯正は歯並びを良くするだけではない

顔が成長する前に抜歯をすることは危険だとDr.MEWは注意を呼びかけています。たいへん大切な問題です。歯列の矯正は顔貌の矯正でもあります。単純に歯を並びかえるだけの問題ではありません。

二人の男の子は一卵生双生児です。13才の成長期に上段の男の子は抜歯による矯正治療をしました。下段の男の子は抜歯をせずに床矯正の治療をしました。歯並びは二人ともきれいになりましたが、男の子の横顔は平坦です。二人の顔はまったく違った成長をしました。なぜならアゴ骨の発育が異なったからです。それは、顔貌の変化が語っています。

骨が正しく育成したその結果として「良い顔貌」に!

子どもの顔は、大人の顔を小さくしただけではありません。上アゴが成長することで、大人の顔になるのです。咬むことで上アゴ骨に刺激を与えることが必要です。上アゴの骨が正しく育成したその結果として「良い顔貌」に成長するのです。骨の成長が終了してからでは顔貌の改善も期待できなくなります。

顎顔面矯正では7歳前後に始めた場合、ほとんどのケースで歯を抜くことなく治療を終える事が可能となります

歯並びだけでなく、上下の
あごの位置関係
を良好にする

子供の矯正と大人の矯正の違い

子供の矯正と大人の矯正の違いは何でしょうか?大人の矯正は出来上がった骨格の上で歯を並べていくしかできません。つまり骨格を治すことはできないのです。出っ歯や受け口がひどい場合や、顎が歪んでいる場合は外科矯正と言って手術の適応になります。

しかし、子供の矯正は違います。成長を利用することにより、骨格のバランスを整える事ができるのです。歯ならびは大人になってからも治せますが、骨格は成長を見ながら行いますので今しか出来ない治療と言えるでしょう

口呼吸や鼻づまりや
いびきの軽減
も期待できる

あなたのお子様は次の項目に当てはまりませんか?

  • 口をぽかんと開けていることが多い
  • いつも猫背で姿勢が悪い
  • いびきがひどい
  • 食べているときぺチャぺチャ音がする
  • 扁桃腺が腫れたり、風邪をひきやすい
  • 寝起きが悪くボーとしていることが多い

これらが当てはまれば、もしかしてお子様は口呼吸をしているかもしれません。

どうして歯並びは悪くなるの?

最近のお子様はしっかり噛まない子が多く、顎が大きくならずに歯が並びきらないことがあります。また、遺伝により骨の形や大きさが親に似てしまうことや、指しゃぶり・頬杖などの悪習癖なども歯並びを悪化させる原因と言えます。

そんな中で意外と多いのが口呼吸による不正咬合です。
現代の子供たちの多くは上顎が狭く、鼻閉があり、子供の8割は口呼吸をしていると言われています。
正常な舌の位置は上あごの上に軽く接しているのですが、口呼吸の子供たちは口で息をするために舌の位置をそれよりも低い位置や、前の方に置くようになります。すると喋り方がおかしくなったり、いつも舌が見えたり、食事の時にぺちゃぺちゃと音を立てて、よく噛まないで飲み込み、食べる速度も遅くなるのです。

V字型歯並び

口をポカンと開けていることにより、わずかにほっぺたからの内向きの圧力が強くなります。そのため上顎の歯列が側方から押されて狭く前に尖ったV字型の歯並びになります。
するとかみ合う下の歯列も狭くなり、ガタガタの歯並びにってしまいます。
下顎全体が後ろに下がることや、上顎と下顎の幅が合わなくて、咬むと左右どちらかにずれるケースもあります。また奥歯は咬んでいるのに前歯は咬みあっていない、開咬にもつながります。

歯並びだけでなく呼吸機能も改善する矯正治療

それでは、口呼吸が原因となる不正咬合に対してどのような矯正治療を行えばよいでしょうか。成長期のお子さんであれば比較的簡単に短期間で治すことができます。最も大事なことは急速拡大装置という固定式装置を使って上顎を広げてあげることです。上あごの天井の骨は左右の骨からできており、「正中口蓋縫合」というつなぎ目を介してつながっています。子供の場合、このつなぎ目がまだしっかりとくっついていないので、この部分で新しい骨が添加して成長していきます。
この時に上あごを広げていくことで、このつなぎ目に新しい骨が活発に作られていくので、上あごをさらに成長させることができるのです。さらには、この装置の最大のメリットは天井の上にある鼻腔(空気の通り道)も広がり、鼻呼吸がしやすくなることです。呼吸の問題が良くなると舌は正常な位置に戻り、鼻呼吸になることで姿勢も良くなります。顎が広がることで歯が並ぶ場所も増加しますので一石二鳥の治療と言えるでしょう。

急速拡大により気道が拡大した症例

  • 術前の状態

  • 急速拡大により気道が拡大しています

お子様のいびきが気になりませんか?

最近よく名前を聞く「睡眠時無呼吸症」。肥満でいびきをかく大人の病気と思われがちですが、実は子供にも起こり、その場合心身の発達に重大な影響を与えることが分かってきました。通常、眠っているあいだに10秒未満でも呼吸の停止が1回でもあれば子供の場合、この病気のおそれがあると言われています。
子供が無呼吸になる原因は肥満や鼻づまり、アゴが小さいことにより空気の通り道である軌道が狭くなることです。また喉の奥にあるアデノイドや扁桃腺が肥大することでも無呼吸は起こります。子供は軌道がもともと狭いので無呼吸を発症しやすいのです。そして無呼吸症の多くはいびき、そして口呼吸と関連しています。

無呼吸の治療方法としてCPAP(シーパップ)と呼ばれるマスクから空気を送り込んで軌道に圧力をかける方法の他、大きくなったアデノイドを摘出するというのも有効な手段です。

睡眠時無呼吸症になると、睡眠時の成長ホルモンの分泌が減り、子供の心身に悪影響を及ぼします。集中力がなくなるため、落ち着きがなく怒りっぽくなる、学業や運動で本来の力を発揮できなくなるケースの他、おねしょ、前胸部がへこむ漏斗胸や低体重、低身長になることもあります。
無呼吸の症状は様々でお子様自身ではなかなか異常に気づくことができないため、大人が早期に発見し、治療を開始することが大切です。

最近アメリカで注目されているのはこの「急速拡大装置」です
急速拡大装置により鼻腔が広がり、鼻でしっかり呼吸ができるようになると、大きくなったアデノイドも、鼻腔を通った湿ったきれいな空気に触れることで小さくなっていきます。 気道が広くなることでいびきは改善していくことが多いです。

無呼吸の症状は様々でお子様自身ではなかなか異常に気づくことができないため、大人が早期に発見し、治療を開始することが大切です。

反対咬合や開咬
治せる可能性がある

反対咬合のデメリット

下の前歯が上の前歯より前にあるかみ合わせを「反対咬合」、前歯がかみ合っていないかみ合わせを「開咬」といいます。

反対咬合のデメリットとして

  • 前歯が前後、逆になっているため発音しにくい言葉が出てくる(サ行・タ行)
  • 不正咬合のため食事の際にうまく噛めず正常咬合の人に比べて消化不良を起こしやすい
  • 顎が正常に歯で固定されないため顎関節に負担がかかり関節周囲を傷つけ痛みを伴うことがある

などいくつかありますが、最大のデメリットはかみ合わせのバランスが悪いため将来歯を残しにくいことです。

80歳で20本の歯を残す8020運動

下の表は東京歯科大学 茂木 悦子先生が1999年に調べた8020達成者の口腔内を調べた研究です。8020運動とは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。1999年の東京歯科大学の研究では、8020運動の達成者の中に反対咬合・開咬の方はひとりもいなかったと言います。前歯は奥歯を守る上で重要な働きをしており、それが機能していないと奥歯にとても負担がかかるといえます。

乳歯の反対咬合を放っておいたらどうなるの?

乳歯の反対咬合を放置して永久歯に生え変わる時に自然に治る可能性はわずかに6.4%という研究があります。
つまり様子を見ておいても治る可能性は非常に少ないと言えます。
反対咬合とは上あごの成長不足によるものなので上あごを成長させる治療が必要です。

左図をご覧いただきたいのですが、赤い点線が上顎(上あご)の発育速度です。 出生をピークにどんどん発育はなくなっていき、10歳で95%の発育が終わります。上あごを成長させたくても10歳を超えると成長が終わっていることが多いので、矯正治療のみでは治せなくなるのです。(成長終了後に外科矯正が必要です)ですので反対咬合は遅くても8歳まで、出来たら乳歯のうちからでも早く治療をした方がいいと言えます

反対咬合が改善した症例

  • 術前の状態

  • 反対咬合が改善しました

治した歯並びが後戻りしづらい

顎顔面矯正は後戻りの心配がありません。

一般的な矯正は歯を並べた後、そのままにしておくと後戻りしてしまうので、保定と言って後戻りを防ぐ装置が不可欠です。
しかし顎顔面矯正は上あごの骨の縫合部から拡大し、ベースとなる骨格を大きくするため、後戻りのリスクは非常に少ないです。

しかも発育期の矯正治療は、あごや歯並びの形を整え、それに食事や会話、呼吸などの機能を調和させる治療です。両者がしっかりと調和していれば後戻りすることはありません。

固定式なので本人のやる気が
なくても治る
可能性が高い

取り外せる床矯正とどう違うの?

上あごを拡大する装置として、患者さんが自由に取り外せる「床矯正装置」と取り外せない「急速拡大装置」があります。
「床矯正装置」自分で取り外しができるため手軽ですし、衛生面でも優れていますが、その構造上、「正中口蓋縫合」を広げることはできません。
また力のかかる歯が斜めに倒れてしまうため、あまりガタガタがひどいとかえって悪くなることもあります。

固定式の「急速拡大装置」は取り外しができないため、大変そうなイメージですが、ベースとなる上顎自体が広がるため後戻りの心配もありません。
また24時間作用し続けるため、床矯正装置で1年かかるところを2、3ヶ月で拡大できます。
都合のいい時に外せる床矯正装置とは違い、本人のモチベーションに左右されない、より確実な装置と言えるでしょう。

  • 床矯正装置による拡大
    歯が倒れて広がり土台は広がりにくい
  • 急速拡大装置による拡大
    上あご自体が広がり、その上の鼻腔も広くなる

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